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八女市は福岡県南西部に位置し、人口6万5千人ほどの都市です。
弊社九州工場は、八女市にあります。
現在の八女市は、高級茶である玉露の産地として、そして伝統工芸の息づく街として名を馳せています。
しかし、八女市はそれだけじゃない、ネタ満載の不思議な街なんです。
歴史と伝統の息づく街、八女市について、5つのポイントとともにご紹介しましょう。
邪馬台国、そして女王:卑弥呼の謎に満ちた伝説は、皆さまもご存知のことと思います。
魏志倭人伝に記録された卑弥呼、そして卑弥呼の統べる邪馬台国ですが、その国がどこにあったのかは、まだ歴史的決着がついていません。
奈良にあった?、琵琶湖湖畔?、それとも北九州?
さまざまな説があるなか、邪馬台国は八女市にあった、という説があります。
八女市内には複数の遺跡、古墳が存在します。その中のひとつが、卑弥呼の墓であるから、八女市に邪馬台国があったという説です。
記録に残された墓と、その古墳のサイズがまったく同じというのが根拠です。
魏志倭人伝は、当時中国の魏王朝が倭の国(※日本)から来た大使の存在について書き記した書物です。
その時に、本当は「八女大国の日御子」(やめたいこくのひみこ)と名乗ったものを、「邪馬台国の卑弥呼」(やまたいこくのひみこ)と聞き誤った、とする説です。
神功皇后とはヤマトタケルの息子のお嫁さんだった人。旦那を熊襲(※)に殺されたことから、時の大和王朝の九州、朝鮮の征伐を陣頭指揮したという伝説の女丈夫です。
この神功皇后が、八女地方を治めていた田油津姫(たぶらつひめ)を討伐しているのですが、なぜわざわざ八女を討伐したのか?
それは、この地が邪馬台国の跡であり、つまりは聖地であったことから、特に政治的な象徴として大和王朝が手に入れる必要があったのだとする説です。
他にもありますが...
邪馬台国がどこにあったのか?
これは日本古代史の中で、とてもロマンあふれるテーマです。残念ながら、八女市=邪馬台国説には、説得力が足りなく、支持も少ないようですね...
時は太平洋戦争のさなか。日本政府は、大東亜共栄圏構想を具体化するために遷都を計画しました。これは、邪馬台国のように「うわさ」ではありません。昭和18年に発表された「中央国土計画素案要項」には、遷都先の候補として、「岡山県邑久郡行幸村」、「ソウル」、そして当時の「福岡県八女郡福島町」が挙げられています。
「八紘一宇」の旗印のもと、遷都構想が立ち上がったとされています。「八紘一宇」(はちこういちう)とは、「天下、全世界をひとつの家とすること」を指した言葉であり、最近三原じゅん子議員が発言し、物議をかもしたことも記憶に新しいところです。
同計画では、遷都先の候補の条件として、以下が挙げられています。
「地震や風水害などの天変地異が少なく、冬寒からず夏暑からず、地形平潤にして高燥、風光明媚なる土地、水、電力、食料豊富、交通利便性高く文化度の高い地域が望ましい」
もちろん、この構想は日本の敗戦とともに消え去りました。一方で、これだけの条件を満たす遷都先として八女が挙げられたことは、当時から八女が高く評価されていたことの証と考えて良いでしょう。
八女は、伝統工芸が集う街でもあります。阿蘇の火山から得られた凝灰岩を素材とする石灯籠、清流を利用した手漉き和紙、またその手漉き和紙を利用した提灯や、伝統あるお寺が数多くあったことから栄えた仏壇など、さまざまな伝統工芸が今も盛んです。
八女福島仏壇、八女提灯は、国指定伝統工芸品。八女手漉き和紙、八女石灯籠、八女和ごま、八女矢は、福岡県指定特産工芸品に指定されています。現在、八女市には伝統産業に携わる職人さんが、約1万人ほどいるのだとか。結果として、八女は九州における伝統工芸の集積地であり、伝統工芸品の総生産額は九州随一だと言われています。
着地型観光という言葉をご存知ですか?
出発地にいる旅行会社の企画や手配を行い、参加者を目的地までアテンドする従来型の観光(発地型観光)に対して、目的地である観光地側が、地元の強みを活かした企画を用意、興味を持った参加者が現地集合・現地解散する形で、観光地側の企画に参加する観光形態を指すんだそうです。
八女では2010年、「茶のくに八女のもてなし宣言」を行い、同時に「もてなし人」と称した観光アテンダントを108名認定しました。また、地元のコミュニティFM局が旅行業免許を取得し、着地型観光をリードします。現在では周遊バスツアーを定期的に行い、なかでも包丁づくりの体験ツアーは、定員の倍以上の応募がある人気企画なんだとか。
地元に根付く伝統工芸と、お茶が、着地型観光を成功へと導いたのですね。
八女は、もともとお茶の名産地として有名でした。八女ブランドのお茶に、さらに箔をつけたのが、地理的表示(GI)保護制度です。
地理的表示(GI)保護制度とは、農林水産省がすすめる取り組みです。
「地域には長年培われた特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在しています。これら産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護する制度が『地理的表示保護制度』です。
農林水産省は、地理的表示保護制度の導入を通じて、それらの生産業者の利益の保護を図ると同時に、農林水産業や関連産業の発展、需要者の利益を図るよう取組を進めてまいります」
(農林水産省Webサイトより)
地理的表示(GI)保護制度に「八女伝統本玉露」が登録されたことによって、ブランドと高品質のお墨付きを国から与えられたことになります。
土壌や気候条件、日当たり、標高等のさまざまな条件がお茶の栽培に適していると言われる八女市。
もともと、その品質は高く評価されており、八女伝統本玉露は、全国茶品評会の「玉露」部門において最高位である農林水産大臣賞を、平成25年を除いて平成13年から26年まで連続受賞。さらに、産地賞は平成26年まで14年連続で受賞してきました。その実績が評価され、平成27年に地理的表示(GI)保護制度を登録するに至りました。
八女伝統本玉露の風味溢れる味わいの秘密はどこにあるのでしょうか?
地理的表示(GI)保護制度における、八女伝統本玉露の登録には以下のように書かれています。
「稲わらやすまき※等の天然資材による被覆は、化学繊維資材による被覆に比べ、被覆内の温湿度環境が茶芽の生育に好適であり、かつ、自然仕立て*2により茶芽の一つ一つに十分な養分が送られるため、鮮緑色かつ艶が生まれる。また、「手摘み」にすることで、新芽の柔らかい部分のみを均等に収穫することができ、新芽の大きさが均一化されている」
※すまき:稲わら、葦等を粗く編んだ物
摘採茶葉
蒸し器へ投入
高温で蒸されたお茶
葉打ち機
揉捻機 よりを作ります
中揉機 乾燥させます
精揉機 さらに乾燥させて、よりを細くします
乾燥機 さらに乾燥させます
このような工程を経て、できあがるのが荒茶です。
荒茶をさらに仕上げて、お店で並ぶおいしいお茶になります。
左が荒茶。右が仕上げ後(商品として並ぶお茶)。
左の荒茶には、茎部分(※白いもの)が残っています。茎部分を少なくしたり、粉茶を取り除き、火入れを行い、仕上げていきます。
試飲させていただきました。
ブレンドする事で、味により深みが出る事がはっきり分かります。
弊社九州工場もご案内いたします(させてください 笑)。
九州工場は、社員8名、パートさん&アルバイトさん約20名で運営しています。名古屋工場、関東工場と比較すると、小規模ですね。
基本的には、広島より西の地域へのエアセルマット供給を担っています。
土地柄でしょうね、加工品では、ビワや梨用のカット品といった果実の出荷向けの製品を多くご用命いただいています。したがって、果実の収穫時期にはわたくしどもたくさんのビワ・梨向けのエアセルマット・カット品を出荷することになります。
ちなみに...
九州工場では、(当たり前ですが)毎日方言が飛び交っています。本社の人間などが行くと...、会話についていけず、戸惑うこともしばしばです。
分からないでしょ? (笑
いかがでしたでしょうか?
福岡県八女市は、全国的に言えば、まして東日本にお住まいの方からは、決して知名度が高い街ではありません。
実は、ご紹介したエピソード以外にも、八女津姫の伝説、江戸時代に発展した久留米藩下最大の商家町など、八女市には興味深いエピソードが尽きません。
機会がありましたら、ぜひ八女市にお立ち寄りください。
古代から綿々と続く、八女の伝統と自然は、きっとあなたを癒やしてくれるはずです。
熊襲 (Wikipediaより)
「熊襲(くまそ)とは、日本の記紀神話に登場する、九州南部に本拠地を構えヤマト王権に抵抗したとされる人々で、また地域名を意味するとされる語である。古事記には熊曾と表記され、日本書紀には熊襲、筑前国風土記では球磨囎唹と表記される」
ふるさと文化誌 八女の里物語 (福岡県文化団体連合)
2016 久留米工業大学 研究報告
地域活性化を目指した着地型観光の取り組み関する研究
地理的表示保護制度(GI) 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/index.html
登録の公示(登録番号第5号) 八女伝統本玉露
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/5.html
登録産品紹介(登録番号第5号) 八女伝統本玉露
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/syokai05.html
いま、旅は「地元発信」が楽しい!~着地型観光のススメ~ (国土交通省観光庁)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/ko/shisaku/kankochi/chakuchigata.html
コトバンク 着地型観光
https://kotobank.jp/word/%E7%9D%80%E5%9C%B0%E5%9E%8B%E8%A6%B3%E5%85%89-892707
「邪馬台国の卑弥呼」ではなく「八女大国の日御子」
http://hasho.exblog.jp/15551535/
八女観光
http://yame.travel/
八女市Webサイト 伝統工芸
http://www.city.yame.fukuoka.jp/soshiki/10/3/2/dentoukougeoi/1455885078371.html
Wikipedia
八女市
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E5%A5%B3%E5%B8%82
邪馬台国
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%82%AA%E9%A6%AC%E5%8F%B0%E5%9B%BD
八女弁・筑後弁ミニ辞典
http://yameben.digi-maru.com/
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