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前回記事「エアセルマットとこんにゃくの不思議な関係」では、こんにゃくメーカーのかぶら食品さんと和泉がタッグを組んで行っている共同配送についてお届けしました。
今回は、かぶら食品さんのご協力のもと、こんにゃくの基礎知識と製造過程をお届けしましょう。
こんにゃくは、サトイモ科の植物です。「こんにゃく」という名前は、食品の名前であると同時に植物の名前でもあります。こんにゃくの地下茎、つまり地中にできた芋を収穫し、加工した食品がおでんや煮物などでおなじみの、食品としてのこんにゃくなのです。
植物としてのこんにゃくは、元々インドシナ半島が原産であったと言われています。現地では、芋の形状から「象の足」と呼ばれることもあるんだとか。
日本への伝来時期については、諸説あります。
「縄文時代に里芋とともに伝来した」という説、「飛鳥時代に薬として仏教とともに伝来した」という説、いずれにしても推古天皇の時代(西暦600年すぎ)には、中国からの輸入が本格化したとされます。
食品としてのこんにゃくは、そのほとんど(96~97%)が水分です。水分を除く主成分は、グルコマンナンです。食物繊維であるグルコマンナンは、ひとの消化器官ではほとんど消化されません。
こんにゃくがダイエット食品として人気なのは、こういった理由なんですね。
食品としてのこんにゃくは、どう作られるのでしょうか?
科学的に言えば、こんにゃく芋に対しすり潰すなど加工を行い、主成分であるグルコマンナン(コンニャクマンナンとも呼ばれる)を糊状にした後、アルカリ液を加えることによって凝固し、あのぷにぷにとした感触のこんにゃくが完成します。
この製法は、1700年代、常陸の国(現在の茨城県)に住む中島藤右衛門が発見したと言われています。
では、現在では、こんにゃくはどのように作られているのでしょうか?
かぶら食品さんにおけるこんにゃく製造の様子を、撮影した製造過程の写真とともにお伝えしましょう。
※以下の画像は、すべてクリックで拡大します。
こんにゃく芋は収穫された後、水洗いされ、裁断、切り干しにされます。荒粉と呼ばれるこれを、不純物を取り除いたきれいな状態に製粉します。これが、こんにゃく粉と呼ばれ、こんにゃくの原料となります。
こんにゃく粉は精製度の品質によって、特等、1号、2号とありますが、かぶら食品では特等のみを使用しています。かぶら食品では、輸入原料には頼らず、群馬県産のこんにゃく粉にこだわっているそうです。このあたり、和泉のエアセルマットに対するこだわりと共通するものがありますね。
写真の原料紙袋は20㎏。一般的には一袋4~5万円ですが、なにせ農作物ですから。不作で原料が高騰し、一袋9万円になった時もあったそうです。
こんにゃく芋の生産は、群馬県が全国一。平成29年度の統計では、全国生産の約92%が群馬県で収穫されました。ちなみに、2位の栃木県は約2.8%しかありません。
こんにゃく芋は水はけがよい土壌を好むそうで、浅間山の火山灰が積もった群馬の土壌が、こんにゃく芋には好都合なんだとか。
ホッパーと呼ばれる巨大なタンク(1400ℓ分)に水を準備します。
グレーの一般的なこんにゃくを作る場合は、粉末のでんぷんとかじめ(粉末状の海藻)を入れて5~10分程攪拌し(※でんぷんとかじめは水に溶けないそうです)、その後、製品に応じたこんにゃく粉を投入し、攪拌し続けます。空気が入るとこんにゃくに気泡(空洞)ができてしまうため、空気を抜く作業が重要なんだとか。撹拌をゆっくり行い、少しずつ空気を抜いていきます。ここは機械まかせではなく、熟練の職人技によって微妙な機械調整を行いつつ、ていねいに空気を抜いていきます。空気が抜けた後も、90分間ほどゆっくり攪拌し続けると、まだ固まりきれないこんにゃくのモトができます。
ちなみに、白いこんにゃくは主に北海道、東北北部地域で消費され、かじめ(海藻)を入れずに製造します。
グレーのこんにゃくを作る時、かじめ(海藻)を入れるのは何故でしょう。
こんにゃく粉ではなく、生芋からこんにゃくを製造する際は、取り除ききれない皮の部分が残ってしまいます。残った皮を目立たなくするために、色付けの意味合いで、かじめを入れたのが始まりだそうです。
こんにゃくと言えばグレー、と思う方も多いため、今では見た目の印象で、かじめを入れているそうです。
ちなみに、こんにゃくの風味を損なわないのは白こんにゃく。基本的に、かじめはこんにゃくにとっては異物扱いなんだとか。
ホッパー内のこんにゃくのもとに、石灰水(水酸化カルシウム)を混ぜ合わせ、練り込みます。この水酸化カルシウムによりこんにゃくが凝固します。複数のフィルターを通過して異物を除去したこんにゃく糊が、約31kg相当の大きな容器に流し込まれます。
大きな蒸し器の中を、ゆっくりとおよそ90分間かけて通過して、カット工程に移ります。
大断ち(1つの容器から10等分にします)をした後、ところてん道のようなイメージで、重力(滑り台)を利用して刃型を通り抜け、裁断されます。
カットの種類は200種類以上あるんだそうですよ!
裁断されたこんにゃくは一時熟成させます。
フィルムなどで包装工程後、殺菌のためボイル槽のトンネル(約90℃)を約30分間かけて通過させます。
しらたきの原料は、こんにゃく粉と水のみ。色付けのかじめなどを投入しないため、半透明状態になります。
ホッパーで下準備されたこんにゃくを練り機で練った後、シャワーヘッドのようなものを使用してしらたきを作ります。高さを変えることにより、太さを調整するそうですが、シャワーヘッドの位置を高くすると細くなり切れて詰まってしまうとのこと。経験が必要なんですね。
こんにゃくでは蒸し器で蒸していましたが、しらたきは湯せんするそうです。約100m程の管を通ったしらたきは、約5分後に出口へ。湯切りされたしらたきはそのまま包装工程に向かいます。
かぶら食品では、しらたきをベースにダイエット食品として人気のこんにゃく麺が各種作られています。ラーメン、スパゲティ、うどんなど種類も豊富です。
かぶら食品の相川社長は、もともと群馬県内のこんにゃくメーカーで機械装置の営業をしていたそうです。独立し、起業したのがかぶら食品になります。
現在の製品ラインナップは、看板のこんにゃく、しらたきを始め、こんにゃくで出来た麺類(パスタ、ラーメンなど)、デザートなど。最近では、タピオカの需要も高いそうで、かぶら食品では25万本/日のタピオカドリンクの原料を製造しているそうです。
かぶら食品のこんにゃくは、業務用がメイン。飲食店、学校給食、コンビニ用おでん具材として出荷されています。
最近では個人向けの通販も充実させ、力を入れています。
少し話がずれますが、社内ではネット通販で購入してくれた同社製品に対するお客様の声などを社内に掲示することで、従業員のモチベーションアップにつなげているそうです。ある有名もつ煮屋でも同社のこんにゃくが使われているそうですが、『こんにゃくが美味しかった!』というつぶやきがあったそうです(もつが苦手な方だったんでしょうか??)
日本全国のローソンのカウンターに並ぶおでんのあるこんにゃくは、もう20年以上かぶら食品のものだそうです。毎年コンペは行われるそうですが、毎回勝ち抜いているというからすごいことです。
このような結果が出ているのも、たゆまぬ努力を重ねているから。
かぶら食品では、随時こんにゃくのカット方法や、見た目、材料の配合変更などのブラッシュアップを行っています。こんにゃく独特の臭みを消すためなど、目的はいくつかあるのですが、一番のこだわりは食感。美味しさを損なわず、どうやったらもっと良い商品になるのか?、そのバランスに苦心しているとのこと。
本文中で、こんにゃく粉の高騰について触れましたが、原料となるこんにゃく粉の品質については絶対に妥協しないとのこと。コストダウンは、生産性向上、包装仕様の見直し、物流の効率化などで行うそうです。
こんにゃくメーカーとして、味と品質にこだわるその姿勢は素晴らしいことですね。
◆かぶら食品 Webサイト
http://kaburafc.co.jp/
こんにゃく芋の生産は、群馬県が全国一。平成29年度の統計では、全国生産の約92%が群馬県で収穫されました。ちなみに、2位の栃木県は約2.8%しかありません。
取材協力
有限会社かぶら食品