「そなエリア東京」、首都圏の防災基地で、最新の災害対策を学ぶ

 9月は防災月間です。
 これは、1923年に発生、首都圏にとても大きな被害をもたらした関東大震災が、9月1日に発生したことに所以します。
 防災に対して必要とされる備え、もしくは防災に対する常識は、常にアップデートされています。
 今回、東京営業所の太田所長と遠藤は、最新の「防災」を学ぶべく、そなエリア東京に行ってきました。
 太田のレポートをお届けしましょう!

※画像はすべてクリックで拡大します。

「そなエリア東京」とは

防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」はここから開始です。
防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」はここから開始です。

 曇天の空の中、当社営業の遠藤と太田で「東京臨海広域防災公園」(東京都江東区有明)内にある防災体験学習施設「そなエリア東京」へ行ってきました。

 この施設は、東京直下型地震が起きたことを想定して、災害への備えの重要性と、発災した時の対応(72時間を生き抜く)の重要性を知る施設となっています。
 早速キャラクターと写真撮影を済ませて、地震発生後72時間を生き抜くための体験学習ツアーを当日見学予約して、予約時間が来るまでに、2Fの展示物の一部を見学(ほぼ紙トイレやミニチュアでの災害様子など)しました。

防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」へ

大地震が発生した後の街並みが、リアルに再現されています。
大地震が発生した後の街並みが、リアルに再現されています。

 いよいよ防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」のスタートです

 ツアーは、商業施設のエレベーター内で大地震が発生するところから始まります。停止したエレベーターを降り、照明の切れた、暗い廊下を進んで施設の外に脱出すると...、そこは大地震によって被害を受けた街並みが再現されています。いわば、実寸大のジオラマなのですが、これがなかなかリアルに再現されていて驚きです。

 このツアーにおいて、参加者は、事前にタブレットを手渡されます。その上で、被災した街(のジオラマ)を歩き回りながら、タブレットに表示された問題に回答していきます。
 参加者それぞれ問題が違うようで、一緒に回った遠藤と太田とでは全く違う場所で問題が出題されていました。

アップデートされていく、「防災の常識」

 「地震が発生したら、すぐにガスコンロの火を消す」─例えば、この設問、皆さまは、正しいと思いますか?

 実は、不正解です。

 「いやいや、昔確かに『地震が起きたらガスコンロの火を消しなさい』って教わったけど!?」と思った皆さま、その回答(≒防災対策)は、もはや常識遅れなんです。

 

 1997年に、全家庭への設置が義務付けられたマイコンメーターは、震度5強の地震を検知すると都市ガスの供給を自動停止します。これは自動遮断機能が付いたプロパンガスでも同様です。
 したがって、現在の地震発生時の常識は、「調理中に地震が発生したら、ガスの火はそのままに、台所から離れて、室内の安全な場所でしゃがみ込む」が正解です。※

 遠藤は自信を持って、「東京直下72hTOUR」に参加したものの、この問題で不正解になり、全問正解を逃しました。
 とは言え、遠藤も、「今の防災における新常識を学ぶことができました」と満足したようです。

 

※もし、マイコンメーターなどが作動せず、ガスコンロ等の火が消えなかったとしても、揺れが収まるまで待ちましょう。慌てて行動すると、転んだり、落下する家財などにぶつかったり、下敷きになる危険があります。揺れが収まったことを確認してから、落ち着いて火を消してください。

被災後、避難生活の現実を学ぶ

これは避難所生活を再現したものですが。プライバシーなどを考えると、なかなか厳しいものがあります。
これは避難所生活を再現したものですが。プライバシーなどを考えると、なかなか厳しいものがあります。

 映像で被災直後のCG映像を見た後は、避難所や避難場所の再現エリアで実際どういった生活になるのかを学びます。備蓄として飲み水の準備をされている方は多いでしょうが、トイレの準備は自宅だけでなく職場でもかなり重要なポイントだなと今回改めて感じました。

 また、避難所生活には定番となりつつあるダンボールでパーソナルスペースを確保する様子が再現されていましたが、実際に見ると、生活レベルや様子が丸見えですからね...、被災時に贅沢は言えませんが、「なかなか厳しいな...」と痛感しました。

 体験ツアー終了後、津波の説明ゾーンを抜けると、パネルによる東京直下型地震の説明や実際に被災した方々の知恵が多数掲示されていて、なるほどと思ってしまうもの、実践できそうなものも、たくさんありました。

 当社のエアセルマットも避難所で使用可能なものです。
 以前、小学生たちが、エアセルマットなどを使い、避難所体験を行う様子は、"震災に立ち向かう小学校教育 「生き抜く科」"でもお届けしました。 
 エアセルマットをどのように活用すれば、被災時のお役に立てるのか、私どもも活用方法を考え、そしてご提案していきたいものです。

災害発生時、首都圏一帯の指示命令基地が設置される東京臨海広域防災公園

大災害が発生したときには、ここが首都圏一帯を指揮する対策本部となります。できれば、使用されないことを祈りたいですが...
大災害が発生したときには、ここが首都圏一帯を指揮する対策本部となります。できれば、使用されないことを祈りたいですが...

 そなエリア東京がある、東京臨海広域防災公園は、東京都と国土交通省が分担して管理しています。と言うのも、ここには首都直下型地震などの大規模な災害が起こった場合、緊急災害現地対策本部が置かれるからです。
 対策本部室の正面にあるモニターには多数の情報が映し出されて、情報収集と分析をし、関係機関と相互調整、災害時の航空管制も行い、首都圏一帯の広域防災の指示が、ここからくだされるのです。
 映画「シン・ゴジラ」のオペレーションルームの撮影にも使用されました。

 屋上の庭園エリアも足を伸ばしましたが、雨が降り始めて残念な景色しか撮影できませんでした。(ヘリポートがあります。)

 今の日本は地震だけでなく、台風や線状降水帯による水害や土砂崩れなど、今までの感覚だと「一生に一度発生するか否かのレベルの災害」が多数発生しています。
 私たちは、「自分も被災者になるかもしれない」という覚悟を持ち、自力で生き抜く備えと冷静な判断で乗り切る力を身に付ける必要があるのではないでしょうか。
 皆さまも、救助までの72時間を生き抜くために、一度防災に関して振り返ってみてはいかがでしょうか。

おまけ 「72時間」の根拠について

 本稿内で述べたとおり、私たちはこれまで発生した地震、水害などの多くの自然災害から、数多くの学びを得ています。その一つが、災害後の生存率を左右する72時間という時間です。

  • 土砂崩れや家屋の倒壊などによって生き埋めになった場合、72時間を過ぎると、大幅に生存率が下がること。
  • 災害が発生しても、72時間を乗り越えれば、行政による支援が届く可能性が高いこと。

 人間は、72時間(3日以内)であれば、飲み食い(※特に水)をせずとも生き延びることができる可能性が高いです。逆に言えば、72時間をどうやって生き残るかが、被災直後の私たちに課されたサバイバルの最重要タスクと言えます。

 72時間、自らのチカラで、自分自身と大切な人を守り、生き残る方法を学ぶことができるのが、今回ご紹介した防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」なのです。



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