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新型コロナウイルス(COVID-19)は、私たちの日常に大きな影響を与えています。
採用活動も、そのひとつです。
転職を希望する求職者側も、新たな仲間を迎える側の企業側も、withコロナでの転職活動/採用活動に、不安を抱えながら行っているところが多いのではないでしょうか?
当社では、ふたりの中途入社社員を迎えました。
新型コロナウイルスの中、当社を選んでくれた、新たな仲間です。
本記事では、マイナビからデータ提供協力を受け、ふたりのインタビューも交えながら、withコロナでの転職活動を、企業側、転職者側双方の目線から考えます。
※グラフはクリックで拡大します。
ここ数年、採用マーケットは、売り手市場だと言われてきました。
社会全体の人不足を背景に、有効求人倍率は高い水準を推移してきたのですが、今年に入り、有効求人倍率は急降下、1999年には1.6倍だった平均有効求人倍率は、2020年5月には1.2倍まで下がっています。
この原因は、企業側の採用マインドが低下したことに起因します。
上記は、有効求人倍率と、有効求職者数、有効求人数をプロットしたグラフです。有効求職者数がほとんど変わらないのに、有効求人数が大幅に減っていることが分かります。
マイナビの転職会員数も診ておきましょう。
2020年5月の会員数は、前年同月比で117.0%です。1月:119.2%から診れば、わずかに減ってはいるものの、転職希望者数は堅調に推移していることが分かります。
一方、1求人あたりの応募数は、2020年1月には前年同月比95.7%であったものの、徐々に上昇し、2020年5月には121.7%になっています。
新型コロナウイルスの影響によって、採用計画に変化があったか
社会人(中途採用、第二新卒採用等)の正社員(2020年4月時点)
マイナビ「臨時版転職ニーズ調査」より
※グラフはクリックで拡大します。
マイナビは企業に対し、「新型コロナウイルスによって採用計画に変化があったかどうか」をアンケートしています。
結果、「当初どおり採用する」と答えた企業は、53.1%ありました。
人不足は、日本が抱える社会課題となりつつあります。
企業にとっても、特に若年層の確保は、企業の存続をも左右しかねない、重要な課題と言って良いでしょう。
とは言え、withコロナの今、新たに人を採用してよいのかどうか。
各企業の葛藤が、このアンケート結果に現れているように思います。
新型コロナウイルス影響後に転職活動を始める理由として、あてはまるものをすべて選択してください。
マイナビ「転職活動者の行動特性調査」より
※グラフはクリックで拡大します。
では、求職者側のマインドは、新型コロナウイルスによって、どのような状態にあるのでしょうか? 同じく、マイナビのアンケートから紐解いていきましょう。
「新型コロナウイルス影響後に転職活動を始める理由としてあてはまるものをすべて選んでください」というアンケートでは、以下のような結果が出ています。
1.および2.は納得ですが、3.および4.は、ちょっと気になります。もうちょっと理由を掘り下げる必要があるかもしれません。
最近、感染対策リテラシーなる言葉も生まれています。
感染対策に対する意識の違いは、人によって異なります。潔癖症傾向が高い方もいれば、おおらかに構えている人もいます。感染対策リテラシーの違いが、家庭内不和、ひいては離婚につながるケースもあるようです。
企業からすれば、離職を避けるために、常識的な範囲での感染対策は、当然行うべきでしょう。ただ、それがあまりに高い要求(※費用対効果が合わない感染対策)を社員から要求されても、困ってしまいますね。
なお、「新型コロナウイルスの影響が転職理由ではない」と答えた方も、29.7%いることも付記しておきます。
吉益君
25歳。
前職はイベント会社に営業として勤務。新型コロナウイルスの影響で、仕事がまったくなくなってしまった。ちなみに、前職の同僚たちは、ついに給与支払いも滞り、アルバイトを始めているとのこと。
浅川君
23歳。
前職は、食品商社で、配達兼営業として活動。
新型コロナウイルスの影響で、会社の売上が昨対比10%まで落ちた。
吉益君:
こういう時期なので、特別なスキルがないと、内定をもらうのは難しいのかな、と感じていました。
即戦力というよりは、伸びしろのある人材を求めている印象は感じました。
浅川君:
初めての転職活動だったので、不安でした。
ただ、実際に転職活動を行ってみると、「コロナ禍でも転職活動はできるんだな」と思いました。実際、僕が面接を受けたところは、Web面接はなく、通常時と同じように対応していただいたので。
吉益君:
僕は...、やっぱりしていたと思います。
浅川君:
していなかったですね。後5年は、働いていたと思います。
ただし、上司を見ていると、残業が多かったりとかなりブラックな働き方をしていたので、長くは勤めることが難しい職場だな、とは感じていました。
吉益君:
アリだと思います。
「転職したい」と思ったら、その気持を大切にするべきです。
ただ、企業の募集広告も少ないし、周りの意見や雰囲気に流されるようにして、転職活動を行うのはダメです。
浅川君:
僕も、転職活動を行うこと自体は、NGではないと思います。
たぶん、皆が思うほど、多くの企業は、採用に関して閉鎖的ではないので。
でも、流されるようにして転職活動を行うことは、僕も良くないと思います。
さて、ここまで、マイナビの協力も得て、採用市場の状況、そして実際にコロナ禍での転職活動を行ったふたりのインタビューを交え、レポートしてきました。
皆さまは、どうお感じになりましたか?
マイナビのレポートでは、せっかく転職を成功させたにも関わらず、すぐにまた転職活動を再開する人たちに対するアンケートがありました。
この人たちに理由を尋ねたところ、「マスクや消毒液の配布など、基本的な感染対策ができていないこと」が、もっとも多数の理由として挙げられています。
これは、新型コロナウイルスに限らず、言えることなのですが。
企業と社員、もしくは採用マーケットにおける企業と求職者の関係は、以前のそれとは変わりつつあります。
企業と社員、もしくは企業と求職者は対等の関係にあります。
企業の方が強い、もしくは社員ないし求職者の方が強いと、勘違いしている方もいらっしゃるようですが。
企業は、社員、もしくは求職者に対し、「魅力ある企業であり続ける努力」を行い、また実践しなければなりません。
その点から考えると、社員から突きつけられる三下り半の理由が、「マスクや消毒液の配布など、基本的な感染対策ができていないこと」であることは、残念と言うか、企業側が社員に対する想いが足りないのかな、と感じてしまいます。
企業側のなすべきことを考えましょう。
新型コロナウイルスは、在宅勤務や、Web会議といった、新しい働き方を考えるきっかけになったかもしれません。ただ、こういった「その企業で働くことに対する魅力」は、新型コロナウイルス以降がなくても、魅力として継続するものです。
現在、採用マーケットは、買い手市場(※企業側が有利な市場)に傾きつつあります。
でも、マーケットの追い風にあぐらをかき、withコロナの働き方、企業そのものの魅力を創生せずに採用活動を続けても、数年後の離職率が上がるだけの結果に終わってしまうかもしれません。
次に、求職者(転職者)側のなすべきことを考えましょう。
実は、採用マーケットの変化を知らず、未だに売り手市場(※求職者が有利な市場)だと勘違いしている人が、少なからずいるようです。
まず、この勘違いはあらため、正しい現状認識を身につけるべきですね。
また、本当に今、転職すべきなのか、その理由は、自分自身に問うべきです。
新型コロナウイルスのせいにすれば、転職理由はそれなりにまとまったものになるでしょう。転職理由を作り出すテクニックとして、そういったことを推奨しているエセ転職相談サイトなども存在するようですが。
当社に入社したふたりが語るように、周囲や採用マーケットの甘い言葉にのせられることなく、自らの意思で、転職活動は行うべきでしょう。
新型コロナウイルスは、社会のありとあらゆることに試練を強いてきます。
それは、採用活動/転職活動も同じです。
本記事が、withコロナでの採用活動/転職活動において、皆さまが幸せな結果を得るための参考になれば幸いです
本記事は、マイナビより提供されたレポート『新型コロナウイルスが転職市場に及ぼす影響』を考察し、作成しております。
また、有効求人倍率/有効求職者数/有効求人数については、厚生労働省が公開している「職業安定業務統計」より『一般職業紹介状況(令和2年7月分)について』を元に、再集計したグラフを掲載しています。