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和泉では、2019年から技能実習生の受け入れを行っています。
一番最初の様子は、こちらの記事でレポートしましたが、本稿では来月(2024年10月)から当社で働き始めてくれる特定技能実習生3名の受け入れ準備の様子をレポートしつつ、2022年から当社で働いてくれている先輩技能実習生3名と、技能実習制度の問題をディスカッションしました。
2019年から技能実習生の受け入れを開始した和泉ですが、これまで春日井工場で2回、関東工場で1回の実績がありますので、今回は4回目の受け入れとなります。
現在、春日井工場では6名、関東工場では3名の技能実習生が働いています。この9名に加え、2024年10月から、関東工場で新たな仲間が3名加わることになります。
ちなみに、先日、こんなニュースが話題になっていましたが...
ニュースによれば、「技能実習生全体のおよそ50人に1人の割合」で失踪者が発生していることになりますが、和泉では、これまで技能実習生が失踪したことはありません。
特定技能実習生を迎え入れるために、受入企業側はさまざまな準備を行わなければなりません。
そのひとつが、住居と、生活必需品の準備です。
新たに迎える3人のために用意したのは、駅にほど近い3LDKのマンションです。
以下の写真は、歯ブラシから布団、炊飯器まで、さまざまな生活必需品の一部を用意している様子です。
こういった準備も手間がかかるのですが、多くの受入企業が頭を悩ませるのが、住居の準備です。外国人の受け入れを嫌がる大家さんも多いですから。
※以下の写真はクリックで拡大します。
当社の技能実習生は、全員ミャンマーから来日してくれています。
2022年から当社で働いてくれている、ハンくん、ウィンくん、ミンくんに、話を聞きました。
※以下、彼らの言い回しには日本語としておかしな部分もありますが、あえて大きく発言を変えることなく、掲載します。
ウィンさん
ミャンマーには戦争(内戦)があるけど、日本だったら安心して暮らすことができて楽だと思う。
旅行に行くのが大好き。
山でも海でも、どこでも楽しい。
ミンさん
食べ物が美味しい。
刺し身が好き。ミャンマーでも刺し身はあるけど高い。日本ではわさびが美味しい。
ハンさん
ミャンマーだと、22時以降に外出していると捕まる。
日本は治安が良いところだから嬉しいし安心。
ミャンマーの家族、農家だから大雨で大変。畑は水で流されてしまった。だからたくさんお金が欲しい。
-恥を忍んで申し上げれば、筆者は、「日本のアニメが楽しいです」のような答えを想像していました。
まさか、戦争の話が出てくるとは思いもしませんでした。
ウィンさん
まだ2年しか経っていないから、そこまで考えていない。
なるべく長い間、日本で働きたい。
ミンさん
ミャンマーは戦争があるから帰りたくない。
(皆一斉に)「働きやすいです」
ハンさん
皆さん、優しい。
例えば、夜働いて、昼間寝ようとしても静かに眠れる。ミャンマーだと無理。
ルールが厳しいから、迷惑をかける人はあまりいない。
ーミャンマー人である彼らに限った話ではありませんが、来日して働く外国人たちには、独自のネットワークがあります。例えば、10月から当社で働く3名は、既にハンさん、ミンさん、ウィンさんとコンタクトを取っており、「どの担当になるのかな?」という話もしているそうです。
つまり、技能実習制度の実情について、彼らは幅広い知識を持っていることを、最初に申し上げておきます。
ハンさん
給料が少ないから他の仕事をしたいと思っても、(制度上)バイトができない。
(同じく技能実習生として日本で働いている)ミャンマーの知り合いから(自分よりも高い金額をもらっているような)給料の話を聞くと、そういう給料をもらいたいという気持ちが出る。
私は、約束したら守るべきだと思うから、契約し続けるけど。
ウィンさん
日本に来る前から、組合の関係でどんな仕事をやるのか分からなくて、できない仕事とかやらされて嫌になっちゃうから逃げてしまう。
お金が欲しいから逃げることもあるけど、ミャンマーの会社から騙されて、こっちに来るから、仕事が嫌になっちゃうこともある。
中には、逃げようと思って日本に来る人もいるかも。
2021年10月7日、第205回国会で、「外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書」が提出されました。
この文章は、以下の問題提起から始まります。
アメリカ合衆国が公表した2021年『人身取引報告書』には、日本について、「外国を拠点とした人身取引犯や国内の人身取引犯は、外国人労働者を搾取するために政府が運営する技能実習制度を引き続き悪用した。技能実習制度の下での日本国内の移住労働者の強制労働が依然として報告されたにもかかわらず、またもや当局は、技能実習制度における人身取引事案や被害者を積極的には一件も認知しなかった。技能実習制度において、政府と送り出し国との協力覚書は、借金を理由に技能実習生を強要する主な要因の一つである外国に拠点を持つ労働者募集機関による過剰な金銭徴収を防止する上で効果を発揮しておらず、募集を行う者と雇用主に対して政府は、虐待的な労働慣行と強制労働犯罪の責任を課さなかった。」旨が記載されている。
海外から、「現代の奴隷制度だ」などと批判された反省を受け、技能実習制度は育成就労制度へと変更されるわけです。
ただし少なくとも、当社関東工場で働く3名に関して言えば、母国ミャンマーの事情もあって日本で働き続けたいという意欲と動機は明確ですし、そのためには不法在留などはもってのほかで、就労先から逃げるというのはありえない切実な事情が見えてきます。
実際に技能実習生を受け入れてきた当社の経験から言えば、受け入れには大きな労力を必要とします。
そこでわざわざ技能実習生を虐げるような愚かなことをして、ましてや逃げられてしまうようなことがあると、費やした労力が無駄になってしまいます...
ただし、やはり基本となるのは、コミュニケーションではないでしょうか?
例えば、ハンさん、ミンさん、ウィンさんの社宅には、定期的に関東工場製造部のメンバーが遊びに行き、また飲み屋などに呑みに行くことも少なくないそうです。
技能実習制度、あるいは育成就労制度に関して、あえてここで議論を深堀りすることはしませんが、大局的に見ると、政府、あるいは産業界のエゴが、制度そのものを歪ませている感は否めません。
だからこそ、その制度を利用する企業側も、実習生側も、この「歪み」に足元を救われることがないように、お互いを信頼し、尊重し合うことが大切なのではないでしょうか。
「歪み」に振り回される当社も、実習生も何かと大変ではあるのですが、それでも同じ職場で働く以上は、仲良く楽しく働きたいものです。